放送禁止4

 フジで放送された放送禁止シリーズ。4作目にして初めて観る事ができました。たぶん再放送されないだろうから自分用メモしておこう。
『戦慄の恐怖 隣人トラブルが引き起こした悲劇』
 2年前(2003年)、隣人の嫌がらせに悩む夫婦を取材した時のVTR。
 Uさんは1年前に夫を亡くして以来、隣に住む森下家に嫌がらせをしていた。庭にゴミをぶちまける・玄関にビラを貼る・大音量で狂言を流す・家庭菜園を枯らす・窓ガラスを割る・無言電話…etc。理由は夫婦が宗教勧誘を断ったかららしい。
 スタッフが設置した監視カメラには、嫌がらせ行為をするUさんの姿が映っていた。証拠を得るが、警察沙汰にしたくない夫婦は話し合いで解決させる。(実は以前夫は不倫をしていて、その事を妻がUさんに相談していた。夫は不倫をやめ、夫婦間ではもう解決しているが、その事が公になるのを避けたかった)
 それからしばらくは何も起こらなかったが、Uさんに貰ったドーナツを食べた息子が高熱で倒れる。夫がUさん宅へ押しかけると、Uさんは呪文と共に宙に「×」を書き、夫は苦しんで倒れてしまった。その後病院に運ばれるが、夫はそのまま死亡する。医者が言うには殺人(毒物など)の可能性はないとの事。
 その後妻と息子は引っ越したが、妻の希望により、この取材VTRは放送される事なくお蔵入りとなった。
 …というのが大まかなあらすじ。
 そして最後に出る、「これはフィクションです」 というテロップ。
 実はこれはフェイクドキュメンタリーで、内容や登場人物はすべて架空のもの。ドキュメンタリーの手法を使ったホラー番組だったのです。要は和製ブレア・ウィッチ・プロジェクトだね。
 私はカラクリを知って観ていたんですが、何も知らずに観ていた人は、騙されたー! ってなったのかな? でも結構やらせっぽい感じはあるので、途中で違和感は感じるだろうけど。最後に隠されていた真実が明らかになって、物語の謎が解ける仕組みです。

  • 引っ越した妻のアパートにあった「×」の置物・Uさん宅の祭壇にあった「×」・嫌がらせの張り紙に書かれていた「×」・夫を呪う時宙に書いていた「×」・息子が落書きしていた「×」・医者の後ろに飾られていた「×」
    →Uさん・妻・息子・医者は×教信者だった
  • 息子が出た無言電話・夫の携帯にかかってきた電話・監視カメラに映っていた抱き合ってキスする夫と女性
    →夫の不倫は続いていた
  • 内側から割られていた窓ガラス・Uさん宅と森下家にあったコップは同じ・夫が倒れた時「×」を書いていた妻と息子
    →Uさんと妻は共犯で夫を毒殺(Uさん宅へ押しかける前に飲んだコーヒー)

 つまり夫以外はみんな×教信者で、不倫していた事を恨み、ぐるになって夫を殺害した…という事だったんでしょう。コーヒー好きだったUさんの旦那も、同じくコーヒーに混入した毒で殺害されたのだと思われ。(番組内では明確に結末は示されず)
 大音量でかかっていた狂言が、「狂言殺人」の何よりの伏線だったんですね。ちなみに演目は「鎌腹」。*1 息子が可愛がっていたカマキリも、メスがオスを食べるというこの殺人の暗示だったのでしょう。*2
 気になったのは、Uさんと話し合いで解決する前、夫が飲もうとしていたコーヒーを息子がこぼしてしまったシーン。たぶんこれ自体が伏線なのではなくて、本当はこの時夫を殺そうとしていたが、息子がこぼしてしまったので失敗→その時は一時話し合いで解決。その後息子に仮病を使わせ、Uさん宅へ夫を差し向ける口実を作って再チャレンジ…てな流れになったってとこか。
 1〜3に比べるとイマイチだったらしいのですが、観終わった後時間差で薄ら寒くなってくる感じで面白かったです。少なくともブレアウィッチよりはいい出来。フジの深夜番組は良作が多いです。また新作を放送して欲しいな〜。

*1:怠け者の夫・太郎が、妻へのあてつけに自分の腹を切って死のうとするが、なかなか死ねなくて…という内容らしい。

*2:始めは2匹飼っていたが、夫が死んだあと、片方がもう片方を食べてしまった。