遺言について

私、前原圭一は命を狙われています
なぜ、誰に、命を狙われているのかはわかりません。
ただひとつ判る事は、オヤシロさまの祟りと関係があるということです。
レナと魅音は犯人の一味。
他にも大人が4〜5人以上。白いワゴン車を所有。
バラバラ殺人の被害者をもう一度よく調べてください。生きています。
富竹さんの死は未知の薬物によるもの。
証拠の注射器はこれです。

どうしてこんなことになったのか、私にはわかりません。
これをあなたが読んだなら、その時、私は死んでいるでしょう。
…死体があるか、ないかの違いはあるでしょうが。
これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。それだけが私の望みです。
前原圭一

 斜体部分が切り取られた箇所です。


誰が切り取ったのか?

1.大石刑事

 メモの存在を知らなかったため、警察の家宅捜査よりも先に見つける事ができたのか、切り取って持ち去るタイミングがあったのか、と疑問は多い。しかし持ち去った理由はある。
 すべてが圭一の被害妄想だったとすると、切り取られた1行目と3行目の内容はデタラメとなる。(現場監督は生きていない、一緒に貼り付けてあったものは注射器ではなくマジック。2行目は1,3行目を持ち去る際、一緒に切り取られてしまった)
 大石は事件の解明を誰よりも望んでいた。このデタラメな行を見られると、圭一が精神に異常をきたしていたと思われ、すべて彼の異常な行動として片付けられてしまうかもしれない。事件の調査続行を求め、メモを持ち去ったのでは?
 もう1つ、大石はすでにこの事件(富竹死亡事件)の担当から外されていた可能性がある。電話番号が古くなっていたのも、部署を移されたせいなのかもしれない。だとすると、大石は圭一死亡事件にも関わる事ができなくなり、独自で調査を進めるためメモを持ち去ったのでは?

2.家の前にいた4〜5人の大人たち

 もしくはこの事件の犯人。自分たちの犯行が明るみになるため持ち去った。
 そうなると、この3行は自分たちが犯人だと決定づけられる重要な部分だったと思われるが、内容を見る限りそうは思えない。それにわざわざ3行だけ切り取るのではなく、メモごと持ち去ればよかったのではないか。切り取る時間は十分にあったが、メモを見つける事ができたのかは疑問。この可能性は低いと思われる。

3.両親

 圭一から時計の事を聞いていたため、メモを見つける事は可能。しかし15日は出かけていたため、警察より先に見つけるのは難しい。切り取る理由も特にない。(両親が事件に関わっていなければ、だが) よってこの可能性も低い。

4.圭一本人

 持ち去る事は1番容易。しかし理由は?
 考えられるのは、家を出る前に正気に戻ったという事。注射器だと思っていたものがマジックである事に気づき、自分の妄想であった部分を切り取った? しかしその後何者かから逃げている圭一の様子を見ると、あの時点で正気に戻ったとは考えにくい。

 ・・・という訳で、私は「1.大石刑事」なんじゃないかと思っています。もし貼り付けられていたものが注射器だとしたら、恐らく警察に提示していたでしょう。そうでないという事は、やはりあれはマジックだったのではないでしょうか。