圭一による鉄平殺害

電話に出た魅音
 犯行(綿流し)前日、圭一は魅音に電話で沙都子を祭りに連れ出すよう頼む。しかし魅音は圭一を悟史と錯覚し、取り乱した。
 この時、園崎家では前夜祭が行われ、親類が集まっていた。それに電話の相手は名乗っていない。この時、電話に出たのは魅音ではなく詩音だったのではないか?(この入れ替わりが物語に関係あるのかどうかは分からないが)

祭りに現れた圭一
 綿流しの最中、圭一は鉄平を殺害していたにも関わらず、クラスメイトたちは圭一が祭りに現れたと言う。犯行が祭りとは別の日だったとは考えにくいので、クラスメイトたちの証言は偽りという事になる。雨で中止になったはずなのに、梨花の儀式の話が出てくるのもおかしい。
 恐らくこれは圭一を庇うためのアリバイ作り。
 事前に魅音に犯行をほのめかしていた(もしくは勘のいいレナが気づいた)ため、圭一が鉄平を殺害する事は予測できた。クラスメイトたちには口裏を合わすよう指示。圭一が現れた瞬間教室が静まり返った事や、必要以上に圭一の行動を事細かに喋っているのも恐らくそのため。
 その後、豹変したように見えたレナと魅音の態度も上記の理由から。放課後ダム現場に誘ったのは、圭一に理由を説明するため。

生きている鉄平
 沙都子は綿流し後も鉄平は家にいると言った。沙都子は上記の口裏合わせには参加していなかったのではないか。
 祭りに出掛けるもすぐに帰宅した沙都子は、帰り道で叔父のバイクと圭一の自転車を発見する。それにより、圭一が叔父を殺害したのではと考える。(もしかしたら周囲に血痕があったのかもしれない) 魅音たちは、沙都子に圭一による犯行ではない事を証明するため、圭一が祭りに来ていたような証言をする。教室での会話は、圭一に「そういう事にしてある」と示し、沙都子にそうだと思わせるためのものだった。
 沙都子も圭一が犯人だと思いたくないため、魅音たちの話を信じ、叔父は存在していると思い込んだ。叔父の虐めで精神的に参っていた状態が、その思い込みに拍車を掛けたのでは? そうなると、風呂の中で1万を数えていたのも自演。以前に言われた叔父の言葉を実行していた。

消えた死体
 圭一は鉄平の死体を掘り返してみるが、穴からは何も出てこなかった。
 これも圭一を庇うため、前もって誰かが死体を移動させていたものと思われる。カンテラを置き忘れていたため、死体の場所の把握はできる。魅音が指示し、園崎の人間にやらせたと考えるのが自然か。

現場に居合わせた警察
 圭一が死体を掘り返していると、現場に大石たちが現れた。
 この前に診療所で入江に犯行を供述し、その入江の元に大石からの電話が掛かってきた事を考えると、入江が大石に話したものと思われる。入江から圭一の異常な精神状態の事も聞いており、大石は半信半疑だった。そのため死体がない事が分かると、圭一に尋問もせず引き上げていったのでは?
 ただ、このあと大石が行方不明になった理由は分からない。

1つ多い足音
 鉄平を殺害した綿流しの夜、圭一は1つ多い足音を耳にする。
 圭一はこの瞬間から世界がおかしくなってしまったと思い込むが、恐らくおかしくなっていたのは圭一自身。この時の圭一は、「鬼隠し編」での精神状態と似ている。「前原圭一」がもう1人いるのも、レナや魅音が豹変したのも、死んだはずの鉄平が生きているのも、圭一が「ありえない」と思っている出来事には、すべてちゃんとした理由をつける事ができる。殺人を犯した事により、精神になんらかの異常をきたしていたのではないだろうか。
 それだけであんな状態になるのか? とちょっと疑問ではあるが、そこに出てくるのがこの人、鷹野三四