蟲師 #20(終)

第二十話 「筆の海」

★★★★★

 代々蟲を封じた話を書き記している女の話。
 自分の使命や運命を受け入れ、それでも蟲を憎まず、外の世界に憧れる淡幽の姿が強く美しかった。禁種の蟲を封じた墨色の痣を、文字にして少しずつ外へ出していくという設定が上手いなぁ。紙から逃げ出す文字、それを淡幽が箸で掴んでまた紙に戻す、という動きがすごくて見入ってしまった。
 ギンコはやはり、少し特殊な蟲師のようだ。他の蟲師が殺生を行っている中、ギンコは蟲をただ「そこに生きている」ものと捉えているのだということが、それぞれのエピソードを通じて感じ取ることができた。ラストの「生きてるんだよ」にはじんとしてしまいました。この二人の交流をもっと見てみたい。
 描いた絵が動き出す話から始まり、書いた文字が動き出す話で終わる。シリーズ構成も見事で、最終回として遜色ないできだった。毎回地上波とは思えないクオリティの高さだったし…。それだけに、21話以降はBSフジで、というやり口が非常に悔やまれる。サムチャンの悪夢再び。だからこれをノイタミナ枠にしろっての。