蟲師 #07〜09

第七話 「雨がくる虹がたつ」

★★★★

 虹を追い求めていた男が現実に戻る話。
 橋大工としての才能がない虹郎が、虹を追いかける事で自分の居場所にすがっていた反面、なんの理由もなく居場所も作らず旅を続けているギンコ、という対比が興味深かった。
 地面から生えた虹・手のひらを貫通する虹・八の字に捻くれた虹、と映像的にも面白かったし、流れ者の虹蛇と川の流れを重ね、流れ橋を完成させたというラストも綺麗。これで虹郎は虹の呪縛から解かれ、現実世界に自分の居場所を見出す事ができたんだろうな。

第八話 「海峡にて」

★★★★

 蟲と人の世界の狭間で、生き別れた妻と再会した男の話。
 ちょっとした浦島太郎。彷徨っていたのは3日間、最期はシロウが迎えに来てくれたので、みちひにとってはある意味では幸せだったのかもしれない。シロウも丘が見えなくなるほど愛していたみちひと再会する事ができたのだし…。
 でもみちひの遺品を手に嬉しそうに笑うナミを見て、シロウはものすごく複雑な気持ちなんだろうな。一概にハッピーエンドとも言えないし、色々考えさせられる余韻のあるラストでした。

第九話 「重い実」

★★★☆

 ナラズの実を使い、自分の命と引き換えに飢餓から村を救おうとした祭主の話。
 実も重いが話も重い。今回もまたハッピーエンドとは言いがたいラストで、だからと言って救いがない訳でもなく…。
 蟲の事を誰よりも知り、以前「均衡が大事なんだ」と言っていたギンコが禁じ手を犯したのは少し意外だった。でも長い目で見れば祭主が農法を伝えて土地はだんだん豊かになっていき、けれど祭主は不老不死という人ならざる者になった代償を背負った訳で、バランスが取れてるっちゃあ取れてる…のか?
 しかし気になるのは、ギンコこそ不老不死なんじゃないのか? って事だ。